私の学級組織の作り方
新年度、教師が準備しておくべきことは大量にある。
これは現場にいないと全く想像もできない量だ。
私も34年間これを続けてきたわけだが、今更ながら、本当に先生という職業はハードである。
現役の先生方を本当に尊敬する。
校務で忙殺される日々だが、実は学級のための準備が最も重要である。
1年間子供と幸せに過ごすためにはここでの準備に抜かりがあってはならない。
まだ、学校再開の目処は立たないが、今の内に準備は粛々と整えておくべきだ。
今年の4月に書いた記事をこちらのブログに転載する。参考になれば幸いである。
2020/03/29 17:17
学級経営のためには「学級組織」を考えておかないといけません。
でも、そんなに難しいことではありませんので、私の中で最もよかった学級組織について書いてみようと思います。
教師生活34年間で様々な「学級組織」を考えてきて、今言えることは、
大きな枠組みは変わらない
ということです。
つまり、学級組織は次の2つから考えます。
当番活動と係活動
当番活動とは学級の中で生活していく中で誰かが必ずやらないといけない活動です。給食当番、掃除当番などは定番ですね。
一方、係活動とは学級の中で生活していく中で誰かがやった方が楽しくなったり心が豊かになる活動です。お楽しみ係、新聞係などがそうです。
ですから、当番活動はマストですが、係活動はなくても済むということになります。当番活動はマストなので重要であることが分かります。
当番活動の種類が3つの学級が多いと思いますが、私の学級の当番活動は全部で4つあります。
1 班当番
2 2人1役
3 給食当番
4 掃除当番
多分「班当番」というのは馴染みがないのでは?と思います。
私の学級ではこの「班当番」が組織の核になっています。
1 班当番
まずは、班当番。
班は座席で決定します。
逆に言うと、班が座席を決めるイメージですね。
班や座席の決め方はいろいろありますが、私の場合は教師が決めることが多いです。
学級の人数にもよりますが、私は基本4〜5人で構成します。
その班の中で当番を受け持ちます。
それが班当番です。
4人班の場合の班当番は次の通りです。
4つの仕事内容を説明します。
1 班長
班のメンバーの仕事をチェックします。時々、班長会議を行い、教師が全体に伝えたいことを伝えます。班の中で欠席などがあった場合には、その日は班長が代役をします。
2 レストラン
給食の準備、片付けの手伝いをします。給食中は牛乳瓶のビニールを捨てる袋を次の班に回すなどもします。
3 ゆうびん
プリントやノートや配布物を配る仕事をします。
4 サインマン
宿題をチェックする仕事です。朝、子供たちは宿題をサインマンの机に提出します。サインマンは宿題を教室の後ろのカゴに入れます。全員が宿題提出していた場合には背面黒板に「○」を書きます。
6班あれば6人同じ当番がいることになります。
この6人が同時に仕事をしていきます。
2 2人1役当番
よくあるのは「1人1役」当番だと思います。一人一人に責任を持たせるために一人が一つの当番を担当すると言うのがその思想です。
私の場合は「2人1役」ですが、原則は1人1役です。
どういうことかと言うと、似ている「1人1役」を組み合わせて「2人1役」としているのです。
こうすることで、どちらかが欠席したときはもう一方の子がフォローする仕組みにしています。
例えば、「朝の挨拶号令」「帰りの挨拶号令」と言う2つの仕事を合わせて「2人1役」にしたりします。
「先生の給食配り」と言う当番も子供にお願いして作っていましたが、このような場合には「月〜水の給食配り」「木〜金の給食配り」のように分けて「2人1役」にします。
写真は2年生の学級の「2人1役」当番です。
この2人1役の仕事は、1日の流れの中で教師がいなかったとしても子供達だけで生活するためにはどのような当番があればいいのか考えて作ります。
2人1役のおかげで教師にも時間ができます。宿題をみる時間も作れます。
2人1役だと、お互いの仕事をチェックし合うことも可能になります。あらゆる当番にはチェックシステムも重要になってきます。
3 給食当番
給食当番と掃除当番は班で進めます。
給食当番表は以下の通りです。
班当番(班長・サインマン等)の磁石を作って誰が何をすれば良いのか分かるようにしました。
基本、1週間交代です。その間は同じ仕事を1週間続けさせました。
毎日、磁石を動かして仕事を変えたこともありましたが、毎日、配膳方法を教えなければならなかったり、磁石を動かしていなかったり、不具合が多かったので1週間固定制がいいと思います。
給食の準備は給食当番が仕切って進める印象が強いと思いますが、私の場合は、
全員で準備する
ということをしていました。
システムを私の(汚い)ノートで説明します。
4時間目が終わって給食になります。
この時、給食当番の班の子は給食着に着替えます。
各班のレストランは給食の配膳台に食器を運ぶなど配膳の準備をします。
もちろん、給食当番とレストランの子は手を洗ってから仕事をします。
一方、班長、サインマン、ゆうびんのメンバーは机を給食隊形に直したり、自分のランチョンマットはもちろん仕事中の給食当番やレストランのものも机に敷きます。
こうして給食の隊形ができたら、手を洗いに行かずに読書して待ちます。
ここまで全員で同時に進行していきます。
配膳準備が整ったところで、給食当番班のレストランが班(号車)ごとに呼びます。呼ばれた班は手を洗ってそのまま配膳に向かいます。
早く配膳が済んだ子は給食当番の配膳もします。
配膳が全員終わったら、給食当番は着替えずに席に着きます。
2人1役当番の「いただきます」当番が登場し、今日の給食のメニュー紹介と「いただきます」号令をして給食開始となります。
挨拶後、給食当番は着替えます。
この後の給食中のルール等は別で書いていきますね。
とりあえず給食準備システムは以上になります。
片付けの際も、給食当番+レストラン(10名ほどになる)で片付けていきます。
このように、全員で行うので準備がスピーディーになります。
ちなみに、もっといろいろな方法があります。もっとはやく準備が終了する方法もあります。
給食の方法を学校で細かに決めているところもあるので、応用してください。
給食当番といえば「給食着の管理」という視点もありますね。
給食着は1週間その子が同じものを使うと思います。
その際、私は給食着を写真のように表示します。
自分が「班長」だということを子供は理解していますから、この表示で済みます。
必ず「予備」というフックも用意しておいてください。
給食当番が1週間が終わって給食着を持ち帰ります。
月曜日、忘れる子がいます。
そんなとき、新しい給食当番の子が困ってしまいます。
その場合は「予備」を使わせます。1週間「予備」を使わせます。
その間、忘れた子は給食着を持ってきたら自分の当番のフックにかけておけばいいのです。
そろそろピンときた方もいると思いますが、私の学級組織は班当番が核になっているのです。
席替えは全ての班が給食当番を終えたところで行います。
6班の学級ならば6週間に1回席替えをすることになります。
4 掃除当番
いよいよ最後の当番「掃除当番」についてです。
掃除当番も班が単位となって行います。
掃除分担箇所にもよるのですが、低学年の場合はできるだけ、
1班1役
がいいです。
例えば、1班は「教室のほうき」、2班は「廊下の雑巾」というようにです。
高学年になると分担箇所が多くなるので1班1場所にせざるを得ないと思います。
低学年の場合は以下のような分担表で行います。
なるべく班の仕事を限定しました。
1週間交代でもいいですが、私の場合は、上手になるまでそこでやってもらっています。
多くの子が上手にその場所の掃除方法を理解できたら交代です。
以上が「当番活動」についてでした。
5 係活動
係活動は、
学級の中で誰かがやった方が楽しくなったり心が豊かになる活動
でしたね。
文化的な活動ということもできます。
よって係活動は「学級の文化」ともいえます。
どんな係活動があるのかで、学級の文化度が分かるような気がします。
子供に係活動をさせるときに必要になるのが、教師がどれだけの係活動例を子供に示せるかということです。
これまでにどんな係活動をしてきたのか子供に言わせることも有効です。
私の学級でかつて存在した係活動を思いつくまま記しておきます。
1 新聞係 学級新聞を発行します。
2 レク係 ミニ集会を企画します。
3 お笑い係 お笑い芸を見せてくれます。
4 飾り係 教室を飾ります。
5 読み聞かせ係 本の読み聞かせをします。
6 生き物係 生き物を飼育します。
7 工作係 みんなが遊べるものを工作で作ります。
8 物語係 物語を書いて読んでもらいます。
9 音楽係 ミニコンサートをします。
10 相談係 悩み相談受け付けます。
11 イラスト係 イラストを描いてみんなに見てもらいます。
12 ダンス係 ダンスを見てもらいます。
13 新体操係 新体操の演技を見てもらいます。
14 けん玉係 けん玉の技を披露します。
15 あやとり係 あやとりの技を披露します。
16 マジック係 マジックを披露します。
17 電車係 電車についてマニアックな情報を新聞にして伝えます。
などなど。
係活動は、活動日や活動内容、活不動の目的を明確にさせます。
係活動を会社に喩えて「会社」としていました。
私の場合は学期固定制ではなく、転職あり、アルバイトありでした。
転職は他の係に移っていいということで、アルバイトは本拠地以外に手伝う係活動があってもいいということです。
学活の時間に各係から8分間の発表枠を受け付けていました。
以上で学級組織のつくり方を終了します。
叩き台ですので自分の考えや子供の実態に合わせてカスタマイズしてください。
コロナウイルスの影響で新学期がどうなるか心配ですが、粛々と準備を進めておくことしかできませんね。
ありがとうございました。
参考までに次のYouTubeチャンネルにも発信しています、併せてご覧ください。