物語教材の指導法1 音読指導

これまでに多くの実践家の影響を受けながら自分の指導法が確定してきた感じがする。

向山洋一先生

市毛勝雄先生

野口芳宏先生

河田孝文先生

物語教材の特性について書いたが、これは市毛先生のご著書から学んだことが多い。

こうやって私が実践してきた物語教材の指導法について今回より書いていく。

第1回は物語指導で最初に行う「音読指導」について述べる。

テキストを扱う以上、まずは読まないことには話にならないわけで、徹底的に読み込ませる。

現場では音読を宿題回しにする傾向が強いがもってのほかである。

宿題論はともかく、本来、学校教育はその教育課程を学校の中で完結するのが大前提である。

音読を宿題回しにするそのこころは、音読をあまり重要視していないということだ。

しかしながら、音読はとにかく重要である。

音読を徹底的にやったらもう授業を終えていいくらい重要と思っている。

特に低学年では音読が重要だ。

スラスラ読めるようになって初めて、内容について検討する授業ができるようになると考えた方が良い。

音読は「声に出す」ことによって教材文の個々の単語へ強制的に注意を向けさせる機能がある。

声に出す行為が読解の補償的な役割をしていると考えられる。

特に低学年は情報処理能力が低いため「声に出す」補償行為によって読解を向上させることができる。 

スラスラと音読させるための音読指導のポイントは「たくさん読ませる」ことである。

本文がまだ読めないうちから内容に関する発問をしても考えることができないのは当然のことである。

だから私は音読に2時間はかけるようにしてきた。

2時間も音読させておくのは子供の集中力が保てないのではないか・・・という意見を聞く。

もちろん、ただ「読んでいなさい」と指示しただけではそうなるだろう。

そこで、工夫が必要になってくるのだ。

今回、音読についてビジュアルに本にまとめる機会をいただいた。

この本だ。(今は売り切れのようだ)

私は共編著させていただいた。

音読と一言で言っても様々な方法がある。

この本の表紙にも「音読指導の授業パーツ」とある。

これだけでも、

範読 追い読み 一文交代読み 一人読み リレー読み

が示されている。

これらを組み合わせることで子供達を飽きさせずに2時間音読できるのである。

例えば、通常は範読から物語単元はスタートすると思う。

その範読一つとってもその指導に技術が必要になる。

時々、どこを読んでいるのか分からない子がいる。そのため音読中に次の指示を出すとよい。

今、先生が読んだ文を指で押さえなさい。迷子ちゃんはいないかな?

ここでパッと押さえられた子は目で文章を追うことができている。

押さえられない子がいた場合、

隣の子、教えてあげなさい。

と言って音読箇所の確認をさせる。

また、教室の後ろで教師が範読しページの変わり目を読んだ時に教科書をめくらない子供がいたら目で終えていない可能性が高い。

このような具体的場面での対応力もセットで教師は身につけておく必要がある。

上記の本に詳細に説明しているのでぜひ一読を。

たかが音読。

されど音読。

音読は教室で「指導」しよう。