物語教材の指導法4 出来事調べ①
主題とは「主材」と「主想」からなるという考え方は分析批評による。
この考え方は実にわかりやすい。
即ち、物語の目に見える部分、言葉としてそのまま読み取れる部分、これを「主材」という。
それに対して、文章にははっきりと書かれていない、明示されていないが、作品として主張しようとしている内容を「主想」という。
「主材」と「主想」を合わせたものが「主題」だというのだ。
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授業レベルで考えると、まずは「主材」を読み取る段階があり、次に「主想」を解釈する段階がある。物語教材の最終目標である「主題の解釈」が完成する。
前回までの「登場人物」「主役」の確定と今回の「出来事調べ」(エピソード調べ)をもって「主材」の読み取りがほぼ終了するという段取りだ。
さて、前置きが長くなったが、「出来事調べ」の指導法について述べる。
まずは物語をいくつかに区切る必要がある。
例えば、場面で区切る。
場面だから、劇で考えれば一旦幕を閉じて舞台の大道具を入れ替えをするような箇所だ。
物語によってはずっと同一の場所で話が展開するものもある。
だから「出来事」で区切るのがいい。「出来事=場面」という物語もある。
出来事は「事件」とも呼ばれる。
一つの物語にはいくつかの出来事(事件)がブロックになって構成されている。
どう分けるかは読んでみて考えるしかない。
教材研究の時に物語をいくつかの出来事に区切ってみよう。
この作業を子供にやらせる実践もあるが、わたしはあまりしたことがない。
「起承転結に分けなさい」
という指示は分かる。起承転結にはそれぞれ意味(観点)があるからだ。
一方、出来事に分けることは曖昧で難しい。自分にそれを指導する力がなかった。
というわけで、教師が考えた「出来事」で物語を分けさせる。
教科書の出来事の境目に鉛筆で縦に線を引かせ、番号をつけさせる。
1の出来事、2の出来事・・・というようにだ。
これで物語を小さな単位に分けることができた。
次にすることは、各出来事を
〜した主役。
というアウトラインを使って一文でまとめさせることだ。
例えば、「兵十にいたずらをしたごん」というように。
「その出来事の中で最も重要なことを書くのですよ」
とこれまた曖昧な指示を出しながらやっている。
これを全ての出来事についてやっていく。
すると、主役を中心に物語全体を要約するかたちとなる。
粗筋のようにまとまるので「あらすじ調べ」ともいう人もいる。
この作業で「物語を主役中心に見たときの流れ」が分かる。
最初に書いた「主材」の読み取り作業ということになる。
出来事調べで子供が書いた文を教師は評定していく。
A・・・出来事の大切なところでまとまっている
B・・・出来事に書いてあるがそこが最重要箇所ではない
C・・・そんなこと書いてない
この出来事調べを授業するときどのように進めるのか。
それは次回。