物語教材の指導法6 主役の変化
主題は主材と主想からなる。
これまでの指導は主材読み取りの段階であった。
ここから徐々に主想の指導を展開していく。
出来事調べの結果、例えば、次のような要約文が並んだとしよう。
出来事1 人間はこわいものだとお母さんから話をきく子ぎつね。
出来事2 一人で手ぶくろを買いにいくことになった子ぎつね。
出来事3 ぶじに手ぶくろを買えた子ぎつね。
出来事4 人間のお母さんの声をきいて急にお母さんがこいしくなった子ぎつね。
出来事5 人間のことをこわくないよとお母さんに話した子ぎつね。
主役の子ぎつねがどのように物語の中で推移しているのかがよく分かる。
これを見せながら問う。
「子ぎつね(主役)はどのように変化していますか」
「次の書き方でまとめなさい」
はじめ〜(主役)が
最後は〜(主役)に変わった。
例えば、
はじめ人間をこわいものと考えていた子ぎつねが
最後は人間をこわくないものと考える子ぎつねに変わった。
のようなまとめ方になる。
こうすることで、物語全体における主役の大きな変化を把握することができる。
子供によって表現の仕方は違うがその子の解釈に整合性があればいいわけだ。
この段階はすでに取材から主想に入っているので無理やり「決まった主題」を押し付けてはならない。
この連載の最初に書いた通り「読者論」が基本である。
言葉の経験が違えば解釈は変わる。
意見が違った場合、その違いを発表させ、子供達がお互いにその子の意見を聞くことは有意義である。
「なるほど、あの子はそういう考えであのような意見をもったのか」
と相互作用が生じる。
主役の変化が明示されたら、最後にいよいよ物語教材読解の最終目標「主題解釈」(主想解釈)の段階に入る。