書かせることが考えさせること
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子どもに何かを考えさせるために、教師は「発問」を準備し授業に臨みます。
ところが、発問さえすればどの子も考えようとするかというと必ずしもそうではありません。
発問後、「全員」に「考えさせる」ためにすることがあります。これです。
作業指示
考えたことを形にさせる作業指示が必要です。
代表的な作業指示があります。
自分の意見をノートに書きなさい。
考えさせるとはこのように自分の考えをノートに「書かせる」ことなのです。
書くことでじっくり考えることができます。そして、書かなくてはならないので考えざるを得なくなるのです。
発問後、挙手した子を指名して進めていく授業をよく見るがあれは駄目です。
積極的な子、自分の意見がすぐに頭で組み立てられる子が中心になって授業が進んでいきます。
私たちは学級全員を対象に授業を行っているのです。これでは指名されない子は何も考えずに終わってしまいます。この子ども達の考える権利を教師が奪っているのです。
~は~ですか。(発問)
自分の意見をノートに書きなさい。(作業指示)
このように「発問+作業指示」をして初めて一人一人に「考えさせ」たことになります。
書く時間はすべての子どもに考える時間を保証していることになります。こうしておいてから指名して意見を答えさせていけばよいのです。
2
作業指示により全員に考える状態を作りました。
しかし、作業指示しても全員がスラスラと自分の意見を書けるわけではありません。どう考えたらよいか分からない子がいるからです。
そこで次の手立てが必要になります。
文章のアウトラインを示す
考えるためには最初、「型」が必要です。次のようなアウトラインを示してあげるといいです。
わたしは~と考える。(結論)
なぜなら、~ (根拠)
アウトラインは文章を書く順序を教えると同時に、考え方の順序も教えていることになります。
このように考えていけばいいのですよとアウトラインが教えてくれるのです。
アウトラインは徐々に進化させます。
わたしは~と考える。(結論)
第一に~ (根拠①)
第二に~ (根拠②)
第三に~ (根拠③)
したがって~なのである。(結論)
今回は理由が複数求められているわけです。
さらに、引用のアウトラインも教えます。
わたしは~と考える。(結論)
第一に、教科書のP○に「引用」
と書いてある。(引用)
つまり、~ということだ。(解釈)
第二に~ *以下続く
したがって~なのである。(結論)
こうして様々な思考訓練をしていきます。考えさせるとはこういうことをいうのです。
3
こうして、考えるための状態が保障され、考え方もアウトラインで示されました。
しかし、これでもまだ考えることが困難な子どももいます。自分の考えが確定できない子どもたちです。
そこで、これが必要になります。
例示
「学ぶ」とは「まねぶ」ということです。
例示があって初めて思考のイメージができます。だから大量の例示を示していくことが必要です。
一つ自分の意見が書けた子にはノートを持ってこさせます。確認の丸を付け、ノートの文章を黒板に書かせます。
黒板にたくさんの「例示」が示されます。これを端から書いた子に読み上げさせます。
こうすることで目と耳から大量の例示が入っていくことになります。
これで自分の意見が書けるようになります。
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中にはそれでも考えられないという子がいる場合もあります。
その時には、
よいと思った例示を写させる
のです。
何も書かせないのが一番よくありません。
黒板の中から自分にあった例示を選択しノートに書くことで「考えさせて」いるのである。
ここまでやって初めて「全員」に「考えさせた」という状態になります。
作業をはやく終えている子には、さらに違う根拠を書かせたり、自分とは違う意見に対して反対意見を書かせるようにします。
このような指導で書かれた子どものノートを紹介します。