影響された教育書ベスト5 今の自分を形作ったもの

34年間の教職の中で自分にとって大きな意識改革につながったり、バイブルの如く何度も見返した教育書を紹介します。

正直、たくさんあり過ぎるのですが、無理やり5冊に絞ってみようと思います。

究極の選択です。

ちなみに自分の部屋は本棚ぎっしり教育書、床にも教育書、地震があったら教育書に埋もれてしまうような数です。

蔵書を数えたことはありませんが相当数です。

この中からベスト5の発表です。

第5位 『「道徳」授業批判』宇佐美寛著(明治図書)1974

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 文章教材による特設の道徳授業の不毛さを証明した本。「気持ちを問う」形の道徳授業批判が当時の私には深く深く入リ ました。それ以来、道徳の授業で登場人物の気持ちを問いながらの授業は全くできない体になってしまいました。

 「道徳を研究している」という方には、宇佐美先生のこの本を読んだかどうかを必ず伺うことにしています。正直、この本を通過していない方の道徳教育には少し警戒するようになってしまいました。

 自称「道徳教育研究者」「道徳教育実践者」は今からでも読むべき、そして、乗り越えるべき一冊です。

 ところで、「そう言う自分は乗り越えたのか?」と批判の声が聞こえてきそうです。

 私なりに次の本を出版し、提案をしております。

 全てワークシートに落とし込んでおります。参考までに。

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 新採で読んだ一冊で、今でもその教育思想が自分の中に大きく存在している一冊です。

第4位 『プロ教師への道』向山洋一著(明治図書)1994

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 教師として自分の成長をはっきりと実感できるスケールになった一冊です。何がいつまでにどのくらいできれば自分は教師としてどの程度のレベルなのか、このような、

 教師の上達論

を示した本です。

 教師の成長なんて測れるものではないという意見があるのは百も承知の上で、それでもなお、教育界にあえて上達論を打ち立てた向山洋一氏の壮大な提案です。

 私は自分の成長を実感したいタイプの人間でしたので、常にこれを指標に日々教師修行を続けてこれたと言えます。向山氏の著作には上達論に関わる本がたくさんありますが私にはこの1冊がモチベーションを上げてくれました。

 授業技量に関わることはもちろんですが、その結果としての出版ということが興味深かったです。

 私が教育界に10冊以上の単著を残してこれたのも、この1冊のおかげであると感じています。

 教師としてのモチベーションを34年間保ってくれた1冊です。

第3位 『国語科授業批判』宇佐美寛著(明治図書)1986

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 第5位に続き、宇佐美先生の著作です。

 私は国語が専門ですが、やはりこの本を新採の夏休みに読んでから、気持ちを問う国語の授業、感動中心の国語授業からさっさと脱却しました。

 世間は気持ち中心、感動中心の国語教育が当たり前に実践されていましたから、私が当時採用した分析批評の授業はいつも叩かれました。

 新任研の研究授業で分析批評の授業を行い、参加者全員から批判されました。

 当時の私はうまくその場で反論を展開できませんでしたが、今でも考え方は変わりません。

 それほどの影響を与えてくれた本です。

 『「道徳」授業批判』同様、国語教育研究者・国語教育実践者にはこの本を通過したかどうか聞きたいものです。

 私の国語教育はこの本がかなりベースになっております。

 ちなみに、宇佐美先生の著作は極めて論理的であり、あまりにもその論理の切れ味が鋭いため読んでいて笑っちゃうほどです。

 そういう意味では結構娯楽本的?でもあります。

第2位 『授業の腕を上げる法則』向山洋一著(明治図書)1985

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 100刷以上の大ベストセラー本。教師として読んでおかないと話にならないレベルの本です。

 授業論の本としては極めて具体的であり、行動レベルで語られているので誰でも追試ができます。

 そして、効果抜群です。

 ここに書かれている10の法則はどれも教師の授業行為の中でプロとして意識されなくてはならないことばかりです。

 人の授業を見ているとこの10の法則が守られていないことがよくあります。

 そして、授業としてはレベルが低くなっています。その原因のほとんどを10の法則で説明が可能です。

 さらに、この本に書かれていることの多くが「特別支援教育」の原理原則にダイレクトにつながっていることに驚きます。

 この本が出版された当時、当然「特別支援教育」という視点はなかった(少なかった)はずです。

 それが当時から特別支援の視点で授業を考えていた向山洋一氏の凄さを感じずにはいられません。

 教師なら100%通過すべき1冊です。

第1位 『授業で鍛える』野口芳宏著(明治図書)1986

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 ここまでの本とこの第1位に差はほとんどありません。

 しかし、この本を新採の夏休みに読んだときの衝撃は今でも鮮明に思い出せます。それくらい衝撃度が強かった1冊です。

 自分が学校で受けてきた国語教育の形とは全く異なる世界でした。

 例えば、物語の授業では「算数のように1つの答えはない」というのが日本の国語教育の考え方でした。

 それに対して野口先生は反論します。

 要するに「よりよい考え方がある」というのです。

 丸やバツが国語教育にも使えるというのです。

 そして、そのような授業の方が子供が楽しく鍛えられるということです。

 身体中に稲妻が走るとはこのことでした。

 ぜひ、お読みください。

 以上が私が影響された教育書ベスト5でした。

 各教科ごとの考えればまた面白いベスト5ができそうです。

 教育書を読みましょう。教師も勉強いたしましょう!