ノートを活性化する方法
1 「活性化」の基準
自分の学級の学習ノートが活性化しているかどうかを自己点検する方法は簡単です。
この1年間に使った学習ノートが最低2冊を超えている
もちろん、この中には「漢字練習」や「日記」などは含見ません。国語の授業の中で使った学習ノートに限って点検します。
中には1単元で1冊のノートを使い切る実践もあるから、この基準は甘すぎるかもしれません。しかし、少なくともこの基準以下では話にならないのだと思います。「活性化」しているとはいいがたく、最低ぎりぎりの線だろうと思うのです。
もちろん、ノートの使用量だけで活性化していると決められないのかもしれませんが、最低限の量もないノートに質など求められないと思います。
2 発問の後でノートに自分の考えを書かせる
学習ノートを活性化させるための大原則はこれです。
発問(課題)に対する自分の考えをノートに書かせる
この大原則を実行することが学習ノートを活性化させる第1歩になります。少なくとも授業中に板書を写すだけの最悪のノート(授業)からは脱出することができます。
教師が発問した直後、ノートに自分の考えを書かせずに、挙手した一部の優生児を指名して進めていく授業の問題点は野口芳宏氏が指摘済みです。
ノートに自分の考えを書かせるという授業技術は一人一人に考える時間を保証し、 全員を学習に参加させることになります。
その結果としてノートが活性化していきます。
公開授業の中で、発問の後に「自分の考えをノートに書きなさい。」と指示する教師は実に少ないです。前述の野口氏の指摘に当てはまってしまっているのです。
3 討論の授業こそノートが活性化する
国語の授業の中でノートがもっとも活性化するのは討論の授業です。
討論の授業は一人一人の子どもたちが自分の論を組み立てていきます。自分の論を組み立てていくにはノートに自分の考えをたくさん書かなくてはなりません。
私は発問の後、次の手順でノートを書かせることにしています。
① 自分の立場を書かせる。
「ぼくの考えは○○である。」
② 自分の立場の論拠を書かせる。
「なぜなら、~だからである。」
③ 自分と違う立場の考えに対する反論を書かせる。
「~の考えはおかしい。なぜなら、~だからである。」
また、発問は板書し視写させています。そして赤えんぴつで枠囲みさせます。こうすると、発問(課題)に対する自分の考えが見やすくまとめられることになるからです。
まずは、一人で考えさせノートに書かせますが、討論の過程では同じ立場の仲間と相談させて一緒に書かせることもあります。
こうして、ノートに自分の考えがぎっしりと書かれていきます。
ノートにぎっしりと自分の考えが書かれて初めて子どもたちは自分の論を作り上げ、発表していくようになります。
向山洋一氏は第5回分析批評講座で次のようにおっしゃっいました。
子どもはノートに書かれていないことは発表しないものだ。
活性化され、ぎっしりと書かれたノートは結局のところ、教育技術に裏づけされる活性化した授業からしか生まれないのです。
4 個別にノートを評価する
ノートに自分の考えが書けたら個別に見てやるのがいいです。
教師が机間巡視して見ていくこともありますが、実はあれは効率が悪いのです。ノートを教師のところへ持ってこさせることが自分の場合は多いです。
そして、
「なるほど!」
「よく考えたね!」
などの言葉と一緒に赤ペンでまるをつけてやります。
個別にノートに目を通して赤ペンでまるをつけてほめる
これがノートを活性化させます。
さらに、子どもたちが自分の考えをノートに書いているとき、机間巡視しながらみんなに聞こえる声で次のように言います。
「おお!ひろし君はすごいノートだなあ。ちゃんと、何ページの何行目と書いてある。」
「さとし君はすばらしいなあ。教科書の文章を証拠にしているねえ。国語の勉強は教科書の言葉を証拠にするんだったよなあ。」
呟いたように見せながら、実は引用の仕方を教えているのです。
このような形でノートの書き方を教えたり確認したりすることで、ノートの質が高まっていきます。